生きるために必要な水と家具の関係

自然と環境

私たちが生きる上で必要な「水」は自然で育った木々から作られ、森を循環しています。
木々は水がないと育たず、一方で水は木々により育てられています。
そのような自然の森で作られた天然木は、家具となってからも生き続けています。
私たちがミネラルウォーターを飲むように、木製家具にも「水分補給」が必要です。
水と家具の関係を知ることで、木製家具をより身近に感じていただきたいと思っています。

水と家具の関係

自然で育った木々からつくられた家具

木製の家具は、天然木ならではの風合いや肌触りの良さを感じることができます。使い手の生活に寄り添い、ともに過ごすことであたたかい気持ちにさせてくれます。私たちが生まれるずっと前から、自然の森で育ってきた木々は、家具となってからも生き続けます。木製家具の材料である天然木は、家具になる前にどのように生きていたのでしょうか。そんな木々の働きの一部をご紹介いたします。
自然で育った木々からつくられた家具

天然木に含まれる水 「含水率」とは

自然に育った天然木は豊富な水分を含んでいます。木製家具に使われる天然木は、伐採された状態だと水分量が多く、割れや反りの原因となってしまい家具には使用できません。それらを天然乾燥や人工乾燥により家具に適した材へ導いていきます。このように調整された水分量は「含水率」といわれる数値で表されます。「含水率」とは木材に含む水分の比率のことです。私たちの家具に使われる木材は、人工乾燥により含水率約6~8%に調整されます。これらの乾燥工程は、家具になってからも湿度の変化などで狂いが生じにくくするために大事な工程のひとつです。

家具と水の関係を知る

含水率が調整された天然木は、様々な工程を経て、購入してくださったお客さまのもとへ届けられます。お客さまがお住まいの地域やお部屋の環境により、設置される空間は異なります。特に無垢材を使用し、オイルで仕上げられた家具は、表面が塗装によるコーティングで覆われていないため、季節や気候による湿度の影響を受けやすくなります。湿度の高い季節には水分を吸って膨張し、湿度の低い季節には水分を放出することで収縮します。毎日同じ空間で過ごしていると、家具の変化や乾燥によるサインを感じやすくなります。天然木の家具をお使いいただくときには、お部屋の湿度を保ち、過度な乾燥状態にならないようにご注意ください。お使いの家具についてより深く知っていただくことで、あたたかい気持ちで見守る、ご家族のような関係姓が築かれるのではないでしょうか。

まずは、家具に使われる木々が森の中でどのように育ち、どのように水と関わりをもっているかを調べてみましょう。

森の中で循環する水のイメージ

森の中で循環する水

樹木の保水力

家具に使われる木材はなぜ豊富な水分を含んでいるのでしょうか。その答えは木々が生えている「森」の中にあります。水と森はお互いに深い関わりをもっており、樹木には水を吸い上げて溜め込む特性があります。たくさんの雨が降ると樹木が吸収し、ゆっくりと土壌に浸透させ、地下水となります。一部は空気中に水蒸気として放出され、一部は川に流れていきます。そして空気中で蒸発した水は再び雨を降らせます。長い年月をかけて、樹木は保水と浄化をくりかえしながら水を循環させています。このような樹木の性質を「保水力」と言います。

「緑のダム」が私たちを守る

木々のないところで雨が降ると、雨水は地面をそのまま流れていってしまいます。しかし森の中ではどうでしょうか。木の葉、草、岩などで遮断しながら、ゆっくりと土の中に浸透していきます。水が浸透していくためには、適度なすきまのある柔らかい土壌が必要です。ふかふかのやわらかい土壌は樹木があることでできあがり、浄化されたきれいな水は地下に蓄えられ、ゆっくりと時間をかけて川に流れていきます。このような樹木や土壌の機能から、森は「緑のダム」とも言われています。世界的に見ても降水量の多い日本において「保水力」という機能により、洪水からわたしたちを守ってくれる非常に重要な役割も担っています。

ミネラルウォーター

森がつくるミネラルウォーター

地球上の水量の約97.5%は海水と言われています。残りの約2.5%は淡水、そのうち私たちが使える水の量は約0.01%程度だそうです。宇宙からみた地球は青く「水の惑星」といわれていますが、実際に使うことができる水の量はとても少ないようです。私たちが使っている水は、地球上においても大変貴重な資源です。

私たちの生活のなかでは、さまざまな水が存在しています。ミネラルウォーターはどのようにしてできているのでしょうか。森に降った雨水が土壌に浸透し、天然のフィルターによって不純物がろ過され、土壌や岩盤がもつミネラル成分を吸収していきます。地中でミネラルが溶解したこれらの地下水などが、普段私たちが飲んでいる「ミネラルウォーター」の原水となります。

日本の国土の約7割を占める森林には、手入れがされず管理が放棄された森林も数多く存在しています。そのような森では土壌がやせてしまい、土砂崩れなどの災害が発生する危険性もあります。自然環境にささえられている私たちの生活やサイクルにおいて、悪い影響がおきてしまう可能性があります。私たち一人一人がそのような環境問題に向き合い、豊かな自然環境の中で、健全な森を増やしていくことが「安全でおいしい」水資源をつくるための重要な要素となります。

水が身体に与える影響

水が身体に与える影響

水は私たちの身体にとっても生きていく上で欠かせないものです。人間にとって最も重要な栄養素といわれています。なぜなら、人間の身体は半分以上が水で出来ているからです。赤ちゃんのときは約80パーセント、そして成長するにつれて減っていきますが、大人で約60パーセント、老人で約50パーセントが水で満たされているようです。老化すると体の新陳代謝が低下し、体内でつくられる水分量は減少していきます。

私たちの身体は毎日大量の水分を失っており、それを補うために水分を補給する必要があります。体内の水は人間が生きる上で様々な役割を担っています。例えば、暑い時やスポーツをしたときに汗をかくことは、人間の体温を一定に保ち調節する上で重要な機能です。そして、身体から水が不足するとさまざまなトラブルの原因となります。脱水症状や熱中症などは水分不足が引き起こす非常に危険な状態です。人間の身体の働きを正常に保つためにも水は非常に大切です。体内の水が不足しないようにしっかりと水分を補給するように心がけましょう。

家具の水分補給

家具の「水分補給」

家具を渇きから守る

家具を新しく購入するとき、「今まで家具のメンテナンスなんてしたことがない!」という声を聞くことがあります。“メンテナンス“よりも”お手入れ“という言葉を使った方が気軽に取り組むことが出来るかもしれません。お手入れ方法はお使いの家具によっても異なります。汚れが気になったら、乾いた布巾でテーブルの表面をさっと拭くこともお手入れです。

毎日の暮らしの中で、お部屋にはさまざまな汚れが発生しています。汚れている手で触ったり、部屋を舞っているほこりが積もっていたり、普段は気が付かない小さなほこりでもお手入れをせずに放置しておくと、いつの間にか積もってしまい、黒ずみや汚れの原因となってしまいます。日常よりかんたんなお手入れを意識することできれいな状態を保ち、家具を長くお使いいただくことができます。

オイル仕上げの家具のお手入れ

人間の身体と同じように、家具にも渇きから守るための「水分補給」が必要となります。私たちの家具の仕上げには、「ウレタン塗装」と「オイル仕上げ」の2種類があります。
まず、ウレタン塗装による仕上げの場合、表面を守るために塗装膜によるコーティングが施されています。「渇き」による影響は少なく、長く愛用していただいた後でも、塗装膜が経年により劣化するまでは十分使い続けることができます。劣化しても工場で表面を一度剥離し、再塗装を行うことができますのでご安心ください。

一方、オイル仕上げとは無垢材の風合いを生かすために、オイルを染み込ませた仕上げです。人間の身体と同様にお部屋環境の影響を受けやすく、染み込ませたオイルが不足すると「渇き」が発生します。「渇き」を防ぐためには、ご自身でオイルによるコーティングをする必要があります。オイル塗布をせずに長い期間放置してしまうと、乾燥が進み、水分を吸収しやすくなってしまいます。表面の乾燥により、濡れたものや熱いものを直接置くと輪染みなどが残りやすくなります。

日々のお手入れを忘れずに

家具の普段のお手入れは、乾拭きをおすすめしています。水拭きで拭く場合は、固く絞って表面に水気が残らないように気を付けてください。また、水拭きのしすぎにより乾燥しやすくなる可能性もありますのでご注意ください。オイルメンテナンスの頻度は1年に3~4回程をおすすめしています。メンテナンスに慣れていない方は、何度か行うことで、メンテナンス方法を身体で覚えて習慣化していきましょう。オイルを塗布した直後の肌触りを覚えておくと、乾燥している状態との違いを感じやすくなります。メンテナンスを忘れないように、季節の変わり目や年末など時期を決めて行う方も多いようです。家具を「渇き」から守るために、オイルメンテナンスを楽しみましょう。

まとめ
樹木は水がないと育たず、一方で水は樹木により育てられていることがわかりました。私たちは大切な自然を守り環境に配慮することで、豊かな森が育む安全な水が作られていきます。人間が生きるために欠かせない水は、家具を取り巻く様々な環境で利用され、関わりを持っています。自然の森で作られた天然木は、家具となってからも生き続けます。これから家具を検討されている方、現在木製家具を使われている方に、知っていただきたい「家具と水」の関係。自然の中で生まれ育ち、家族とともに成長していく木製家具を末長くご愛用ください。

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