最近はスマートフォンの普及により、インターネットを通じて簡単にモノが手に入るようになりました。
そして、コロナ禍によるECによる販売取引やサービスが拡充され、無限ともいえるほどの情報がネット上に溢れかえり、何を根拠にモノを選ぶか悩ましいところです。
家具も例外ではなく、イスやソファー、はたまた壁面を覆いつくすほどの大きな収納家具までもインターネット上でワンクリック購入が可能です。
カンディハウスも同様にオンラインショップがオープンし、様々な商品をワンクリックでご購入いただくことが可能となりました。そこでは画像や動画を使ってより分かりやすく商品のご案内を試みています。
しかし、オンラインショップ上では伝えきれない情報があります。やはり家具は試してみないと…。
なにより家具を選ぶ中で体感するということは情報として欠かせないモノです。
切っても切り離せない事象です。やはりソファーは座り心地を試してみたいですし、テーブルやイスの座面の高さも体感しないと決め難いのではないでしょうか。
カンディハウスは全国各所に商品を実際にお試しいただける直営店、取扱店がありますので、足を運んでみるのもひとつの方法です。
しかし、今回はアフターコロナにおける、“新しい家具の買い方“につながるアイデアを別の切り口で考えてみます。
[目次]
家具という体験型インタラクティブ性
今まで店舗はインタラクティブ性のある商品購入の場として機能してきました。家具販売においても実際に家具を展示し、「座り心地はいかがでしょうか?」「イスの座面の高さは合っていますか?」といったインタラクティブ性を盛り込んだ接客、販売を行うことが主流でした。いわゆる小売り(リテール)の王道のような、体験、体感を主とした販売手法です。デジタル技術を用いたとしても、日常的に体を預ける家具は体験、体感をして購入するという側面から切っても切り離すことができない商材かもしれません。
「もしもし」というあのジェスチャー
ただし、そこに安心していると足元をすくわれる時代がコロナ禍によってスピードを増して近づいているのかもしれません。個人的に感じた例えを挙げてみます。耳に受話器(携帯電話)をあてて話をするという姿勢をみると、すれ違いざまでも電話をしてるのだな…。と解釈できます。しかし、手ぶらで歩いてくる方が、なにか独り言を言ってるなと思ったら、ワイヤレスイヤホンマイクを利用して電話をしている。という様子を見て、自分の感覚が固定観念にとらわれている…。と感じました。もしかすると、親指と小指を立てる「電話する」「もしもし」というあのジェスチャーは伝わらなくなる時代が迫っているのかもしれない…と、想像を膨らませてしまいました。余談でしたが、時代の流れは思いのほか早く、コロナ禍によるDXの推進によるデジタル化が加速度を増しています。新しい技術や機器が導入され、普遍化することで今まで通用していた手法が、新しい時代には効果が見込めなくなるかもしれません。家具業界でもライフスタイルの変化やマンションなど住宅市場の変化により、婚礼タンスという文化が衰退しつつある事象となっています。これまでもそういった事象は起きてきたことです。変化に柔軟に対応することで、さらにアップデートし続けることができなければ淘汰されていくことなのでしょう。オンラインが主流となり、ウェブルーミングやショールーミングといった購入手法も生まれる中で、自分自身も知らぬ間に自然とスマホを片手に店舗で情報を取得し、オンラインで購入という手法をとっていることに気がつきます。家具業界にもまた、別の変化の波がすでに来ているのでしょう。
“リテールテインメント”という体験型小売スタイル
その変化の波をご紹介します、すでに導入している企業もありますが、最近では小売(リテール)と娯楽(エンターテイメント)を組み合わせた体験型小売り“リテールテインメント”という手法が今後のリテールの主流になりつつあるようです。オンライン、オフラインでの競争が激化し、既存の購入体験に付加価値を与え、差別化を図る 。エンターテイメント要素のあるユニークな体験を通じて、消費者が買い物をする。わざわざ行く価値のある店舗が生き残る…。これからの実店舗はそのブランド特有の体験ができるという“リテールテインメント”の要素を盛り込んだ“場を提供する“ことが重要なポイントとなってくるのではないでしょうか。顧客とダイレクトにつながり、「ブランドの世界観」や「体験=思い出」による付加価値を高めてファンを増やし、顧客を楽しませることで購買意欲へと繋げていく。という新しい時代になりつつあるといえるようです。
“ワーケーション・ブリージャー”という新しい旅のスタイル
また、体験、体感という意味では“旅“という最たる行為がありますが、その“旅“のスタイルも大きく変わりつつあります。コロナ禍を機に会議アプリを利用したリモートワークが世間的に認められ、どこでもネット環境があれば仕事ができるニューノーマルな時代となりつつあります、観光地やリゾート地でリモートワークを活用し働きながら休暇をとる過ごし方としてワーケーションという新しい働き方も認知されてきました。ワーケション同様に出張に休暇を足し出張先で観光を楽しむというブリージャー制度を導入する企業も増えてくるでしょう。各宿泊業界は今後の情勢を見据えたWi-Fi環境を整備したワークスペースを完備させるなど、急ピッチに設備環境を整える企業も増えてきているようです。また、働くエリアや環境の境も関係なくなり、“旅と働き方“の考え方、捉え方に大きな変化が生まれてきています。
ニューノーマル時代の家具との出会い方
これらコロナ禍を経て生まれる新しいニューノーマル時代には、今までと違う切り口での家具の買い方、出会い方がきっとあるように思います。少し想像を膨らませてみたいと思います。カンディハウスは北海道・旭川に本社、工場、そして、旭川ショップはカンディハウスで最大の商品数を展示、販売を行っています。“旅先”という観点では北海道は人気の観光地であり、旭川には自然豊かな大雪山系の山々、層雲峡温泉、旭山動物園、旭川近郊には美瑛、富良野などなど…。観光名所はたくさんあります。 “ワーケーションとして過ごす場所”としては観光のインフラはすでに整っていると思います。そこに、家具産業の街である旭川という側面でも、なにかアプローチを図ることはできないだろうか…。人と家具、観光地と家具。それぞれなにか結びつけ合うことで、より旭川という街、家具という産業、カンディハウスのものづくりを知っていただく機会として“旅、購入体験、体感“をキーワードに考えてみます。
「THE workation HOTEL “CONDE HOUSE”」
例えば、店舗にてインタラクティブ性を用いた家具購入の手法として、カンディハウスの本社・工場に隣接する旭川ショップにて、従来通り接客を通じて、たくさんの製品の中からご検討いただくことは可能です。しかし、お店では他のお客様の目が気になり、いつも自宅で使っているような使用感を試すことができない…、どこか非現実的で…、生活道具である家具をもっと身近に感じてじっくりと購入を考えたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、ホテルなど宿泊業界とのコラボレーション、もしくは独自に宿泊業にチャレンジするなど取り組みを模索し、カンディハウスの家具が納められた部屋にワーケーションで滞在できる「THE workation HOTEL “CONDE HOUSE” 」という企画案を検討してみます。お客さまは“店舗“とは違う”宿泊施設“という一室で、ご自宅でのくつろぐ感覚に近い気持ちで、ゆっくりと備えられた家具を体感することができます。ベッドは実際に寝心地を体感できますし、人目を気にせず、自宅のようにソファーで横になってみたり…、イスの上で胡坐をかいてみたり…、いつもどおりに試してみることができるでしょう。そうしてみると改めて自分の使い方にはどんな要素が大事なのか、気づきの場になるかもしれません。そして、お客さまがそこで得た自分の情報をもとに、デジタル技術を利用して製品情報を獲得し、家具選びの参考にすることができます。私たちにも宿泊体験により得た情報を共有していただけますと、お客さまに合う商品を一緒にお探しする楽しみが増えそうです。
暮らすように過ごす。場の提供
通常の旅行よりもワーケションという長期滞在で過ごす環境下を利用して、家具選びという買い物体験を掛け合わせ、ブランド特有の体験ができるという“リテールテインメント”の要素を盛り込んだ“場を提供する“という提案です。造作なども得意とするカンディハウスが、建具や扉、特注キッチンや洗面台、クローゼット、キャビネットなど置き家具以外なども手掛けた施設となれば、お部屋丸ごと、ホテル丸ごとショールーミング!カンディハウスのものづくりを詰め込んだ新たな購入体験施設となるのではないでしょうか
生活道具に思い出を
あくまで、仮説の話でここまで来ましたが、現状のカンディハウスの家具を体感できる施設がすでに全国各地にありますので、そちらでお試しいただくことが可能です。さいごに、家具は長く付き合う生活道具です。その家具選びという行為に、旅行先で楽しく選んだという購入体験(思い出)を重ねることで、日々の生活を支えてくれるものの存在がまた違った大切なものになってくれると良いなと思います。今後の家具選びの新たなフェーズに“リテールテインメント”としての可能性を探るカンディハウスの取り組みにご期待ください。
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