昨今の住宅事情により和風から洋風の住宅が増える中で組み込まれる標準仕様、オプション仕様など、移ろう中で家具の需要、要望も千差万別。実はあまり知られていない組み合わせ家具やセミオーダー、特注について実際のお客様の声をもとにまとめました。
[目次]
希望のサイズがない?
「150cmくらいのTVボードを探しおり、なかなか希望のものがないのですがこちらにありますか?」などとお客さまから探されている家具のサイズを尋ねられることが多々あります。
実はこれに限らず、ダイニングテーブルやソファー、食器棚などが話題に上がります。
頻度としては,さほど多くないのですがここ10年~20年でこの問い合わせが増えたように思います。
みなさんはなぜだかお分かりになりますでしょうか?それには日本独自の住宅環境が影響しているかもしれません。
昨今の住宅事情が影響!?
ここ20年近くで、日本の住宅環境が大きく家具業界にも影響を与えているのを皆さんはご存じでしょうか?
とりわけ、住宅の中で大きく変化しているのは収納が標準化してきているということ(例:ウォークインクローゼット、パントリー、キッチンボード)また、畳の部屋が一切なく、洋室のみという住宅も増加傾向にあります。これらの要因がどのような影響を与えているのか、前段でも述べた通り、昭和の時代には限りなく収納関係はワードローブや箪笥、食器棚など置(おき)家具でした。嫁入り道具などという言葉も一般的でしたが、昨今は死後となっているようです。そもそも住宅が洋風化されて来ており、各社断熱や気密性、免震など特色を打ち出していたり、インターネットやインテリア雑誌でもおしゃれな一体型収納などが載っていたりと一般の方でも気軽に情報収集できるようになりました。このような時代背景と共に日本の家具産業も著しく厳しい環境となっています。とくに箱ものと呼ばれる、箪笥やワードローブなどの服飾関係の収納は軒並み備え付けとなっており、キッチンに置かれる食器棚もパントリーなどに形を変え、需要の減少が大きいのが実情です。これらの傾向は新築に限らずリフォームやリノベーションなどにも当てはまり時代の流れとなっています。
ユニット?システム?組み合わせ家具?って何
時代の流れに飲まれ姿を消しつつある箱もの家具たち、本当にそうなのでしょうか?実は箱もの家具たちはスタイルを変え市場で販売されております。ただし、メーカーによっては未だ、多くの規格サイズを持って販売しているところもあれば、サイズを絞って販売しているところもあります。そのような中、多くのメーカーはシステム家具(組み合わせ)を販売しています。需要が大きく形を変えてきたのに対して、箱物も豊富な規格を設け、それらを巧みに組み合わせることで、要望に近いサイズ、または完全に要望されたサイズを満たすなど各メーカーにより異なります。しかし、規格(サイズやパーツの組み合わせ)が複雑なため、思うように認知されていない現状があります。幅や奥行き、高さなどの基本設定や扉、引き出し、引き戸など細かな設定を選ぶことが可能です。
システム家具は何にでも対応可能
システム家具はおおよそ、箱ものを指します。つまりは、TVボードやリビングボード、サイドボード、カップボード、ワードローブ、ドロアー(引出収納)など対応は多岐に渡ります。システム家具のメリットは前項で述べた通り豊富な設定によりさまざまな組み合わせが可能になるという点と、パーツ毎に値段設定されていることが多い為、予算によっては足し算及び、引き算で調整がしやすいという点である。ただし、特注ではないため完全な希望を満たすことは難しく、あくまで希望に近づけるということである。また、リフォームやリノベーションで躯体はそのまま再利用してとなるケースも多い為家具の置けるスペースが限られている場合もあるので、一般規格よりも小ぶりなもの、極端に大きいもの(TVボードなど)には重宝する。とくにTVは近年50~65インチがリーズナブルな価格帯となっているので売れている。それに付随して電気量販店でもTVボードは売られているが、ほとんどが木製ではなくサイズやカッコよさを求めるのは難しい。よってシステム家具のTVボード人気は各社ともに高い。素材も天然木から樹種シートなどメーカーにより異なるが質感などにも大きく影響するためサンプルなどを取り寄せて確認するなどした方がよい。ただし、一般的には見た目に樹種シートとわからないものも、多く流通してきている。
特注家具ってどのように相談
ここまでシステム家具について説明してきましたが、特注家具とはどう違うのか?また特注家具の相談は可能かという問い合わせをいただくことがあります。まず、大きな違いですがズバリお値段が大きく異なります。特注家具はお客様のご要望の寸法や仕様を具現化します。また製造のラインも異なり1点ものを特注することとなりますので量産ものとは効率も著しく変わり、すべての要素がお値段に反映されるのです。材料(木材)には規格があり、製作する寸法によっては材料の取り方(歩留まり)が悪くなってしまいます。このように材料的にロスな部分も多く、製作前には製作用及び、お客様確認(打ち合わせ用)の図面も作図しなくてはなりませんので、かなりの手間暇を要します。
一方、システム家具は材料の歩留まり等は事前に計算されているためムダが少なく価格面でも特注より抑えられるメリットがあります。ただし、これらの影響を受け希望サイズに対してジャストとはならないのです。とは言え、完全な希望は叶わなくても質感や仕上がりに大差はありません。多くのお客さまは当然のことながら予算がありますので、検討されているものへの配分や、総合的な価格で判断されることが多いです。これらのメリットやデメリットを考慮の上、メーカー及び、販売店に相談してみると良いでしょう。
テーブルやチェアーもオーダー可能?
ここまでシステム家具や特注についてのご説明をしてきましたが、この流れからテーブルやチェアーもサイズで困ることがあるとの相談をよくお受けします。箱物と同じように特注可能なのでしょうか。まず、結論から申しますと一般向けに対してのチェアーの特注は難しいでしょう。基本、チェアーは座る(腰掛ける)という前提で人の体重が掛かります。もちろんのこと強度を要しますし、製品化する際はデザイン、強度試験など項目は多岐に渡ります。とくにチェアーが破損してケガをすることのないように対応されていますので、これらのことを勘案すると特注対応は容易ではありません。ただし、工房を営む作家さんで少量案件を受けておられる方もおりますのであくまで一概には言えません。ではテーブルはどうでしょうか?実はテーブルはチェアーとは異なり形状によっては特注対応を受けてくれるメーカーは少なくないでしょう。もちろん強度などの面で制限が掛かる場合もありますし、箱物同様お値段は既製品より遥かに上がると思われます。ただし、メーカーによってはセミオーダーの形式を取っている場合もあり、小刻みなサイズ設定や縦横5cm刻みでオーダー出来るなどそれぞれの特色を生かしています。意外とご希望のサイズが見当たらないということを実感されるのは、お店(販売店)をまわりはじめてからというお声をお聞きします。戸建てやマンション、賃貸などいろいろなケースがあるものの、昨今の家族構成はひと昔前よりも確実に小型化しており大きなサイズを求める必要性が減っています。このような時代の流れからオーダーという点に着目される方が増えているようです。興味のある方は「サイズオーダーテーブル」などと入力し検索されてみてはいかがでしょうか。
コロナ禍でも希望した家具で充実した時間を過ごす
2020年はコロナウィルスという未曽有の事態ですが、逆におうち時間を見直す良いキッカケとも捉えることができます。このような異常事態は過去に経験がありませんが現在の働き方や普段使用している家具を改めて見つめなおす機会として入れ替えの検討や思い切って家具をオーダーするなど自分だけのよりこだわったお部屋へとアップデートするチャンスかもしれません。
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